2021年1月29日金曜日

般若心経

再考「真理のことば」 の改訂を進めていますが、この文章は、追加章として執筆中の付録7「さとりと空」の原稿の一部です。記事さとりと解脱と涅槃記事 空相色合わせて 付録7「さとりと空」となります。

***************************


 仏道の「空の概念」は、「空」という漢字が、「全てを貫く穴」と、かなり真逆の「からっぽ」の意味があることから、議論が混 乱してしまったのだと思います。これは、悪魔崇拝教のトラップが入り込んだ結果でしょう。般若心経に登場なさるのは、観音様 とサーリプッタ尊者様です。これをお釈迦様は必死でお唱えしながら仏道をお広めになられたのだと、私は推察しております。あ らかじめ、般若心経が悪魔に侵されにくいように、また侵された時を想定なさって、お作りになられたと思われます。以下に、こ のように考える理由を二つ記します。

  1. 第一点 我々が目にする般若心経は漢文なのですが、とにかく意味を捉えるのが難しいことです。かけ言葉もあるようで、返り 点など打てる状況にないのです。さらに短いですから、本体への改ざんは至難の技です。原文から受け取る情報は、読んだ 人によって異なり幅が広くなると思います。よって、いい加減な解説を権威づけたり、文章の切れ目を変えたりして般若心 経の真理を覆い隠しているようです。
  2. 第二点 般若心経は、音を大切に編まれた詩で、読み上げるだけで功徳があると言われている点です。私が聞き及んだ限りでは、 この音自体に魔除けとしての役割があるとのことです。したがって、漢訳なさった玄奘三蔵法師様も細心の注意をお払いに なって、漢字をあてられたことだと思います。

 神々様の仏弟子 (人間 )に対する愛情あふれるおはからいを感じる次第です。


   般若心経について、以下の点について考慮し、当方が考えた切れ目に沿って、全文・読み方・意訳を記しました。

  1. 【三行目】 五蘊については、一般に「人間を成り立たせている五つの要素。色 (しき)(=肉体)・受(=感覚)・想(=想像)・行 (ぎょう)(=心の作用)・識(=意識)。」(Oxford Langueages さんより)となっています。しかし、当方では、色 (しき) 肉体とは捉えず気の流れと捉えて、般若心経の読み取りも、十行目の「受想行識」を「想念、行い、知識を受け」と訳しました。これに伴い、色 (しき)(=肉体)...の「=」関係は成立しませんが、カッコ内の言葉を使うことが、現実に則してい ると考えました。したがって、本書では、五蘊とは 人間を成り立たせている五つの要素で、身体・五感・想念・行い・意識 であると再定義します。
  2. 【五感】 前述の五感は、一般に、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚とされています。
  3. 【十九、二十一行】 「眼」は「限」がかけ言葉となっているようですので、双方の場合の意味を記しました。「眼」は、一二三神示(日月神示)に出てくる艮(うしとら)金神様の目であり「霊能力」と考えました。
  4. 【十九、二十行】 この世は「色」が作る相にがあたかも真理のように横行し、人々を惑わしている訳ですが、「色」を最も認識する のが、五感の中でも「視覚」です。したがって、視覚()の情報により惑わされやすいから、聴覚()・嗅覚()・味 ()・触覚()・意識(;前頭葉)からの研ぎ澄まされた情報を大切にするべきだと主張していると考えました。
  5. 【三十二行】 大いなる教え(般若心経)の真理()を得たことから、悟りを得て涅槃へ到達するという道筋が示されていますが、 この順序はとても大切だと思います。日頃の「努め励み」と「慎み」に気を付けて生活を送るうちに、(実は)真理は与えら れるのでしょうが、正しい道筋である場合、自分では与えられたのか? 自分で気づいたのか? 判別ができないというの が、大方の正直な感想ではないかと思います。
  6. *1*2 】「垂」「圭」漢字はパソコンで出力できる字となりました。写経等で使用されている文字は「埵」と「罣」です。
  7. 【呪 】この字は、「真言」(真の言葉)という意味で、感覚的には「呪(のろ)い」とは逆です。



般若心経 (三蔵法師玄奘訳)

http://structure.cande.iwate-u.ac.jp/religion/hannya.htm さん参照(深謝)


(一行) 観自在菩薩  (観音菩薩様が)

     かんじざいぼさつ 

(二行) 行深般若波羅蜜多時  (深遠な知恵を完成するための実践(熟考)されている時、

     ぎょうじんはんにゃはらみったじ

 (三行) 照見五蘊皆空  (人間を構成する五つの要素【=五蘊】と全ての空(真理)を熟考して

     しょうけんごうんかいくう

 (四行) 度一切苦厄。 (すべての苦しみを渡ることができた。

     どいっさいくやく

(五行) 舎利子、 (舎利子よ、)

    しゃりし

(六行) 色不異空  (色は空とは異らず、)

     しきふいくう

(七行) 空不異色  (空は色とは異らず、)

     くうふいしき

(八行) 色即是空  (色は空でもあり、)

     しきそくぜくう

(九行) 空即是色  (空は色でもあり、)

     くうそくぜしき

(十行) 受想行識  (【各自の】想念、行い、知識を受け、)

     じゅそうぎょうしき 

(十一行) 亦復如是。 (色は空に、空は色に帰せられるのである。)

      やくぶにょぜ

(十二行) 舎利子、 (舎利子よ、)

      しゃりし

(十三行) 是諸法空相、 (諸々の真理()は空相であり、)

      ぜしょほうくうそう

(十四行) 不生不滅  (【空相は、】もともと、生じたり滅んだりするものでもなく、)

      ふしょうふめつ

(十五行) 不垢不浄  (よごれていものでも、浄らかなものでもなく、)

      ふくふじょう

(十六行) 不増不減  (増えることもなく、減ることもないのである。)

      ふぞうふげん

(十七行) 是故空中無色。 (なぜならば、空は色ではない部分であるからだ。)

      ぜこくうちゅうむしき

(十八行) 無受想行識  (各自の想念、行い、知識を受けなければ、)

      むじゅそうぎょうしき 

(十九行) 無限()耳鼻舌身意 (創造主の艮金神の目【霊能】が無くとも、耳と鼻と舌と肌と意識が限り無く【研ぎ澄まされ】)

       むげんにびぜつしんに

(二十行) 無色声香味触法  (色のない聴覚・嗅覚・味覚・触覚・法を理解する。

      むしきしょうこうみそくほう

(二十一行) 無限() 乃至無意識界。 (創造主の艮金神の目【霊能】が無くとも、「限」限界がなくなり、意識界とは異なる 世界へと至ることができる。)

      むげんかいないしむいしきかい

(二十二行) 無無明 亦無無明尽  (そこに到れば、無明もないので、無明が尽きるということもなく

       むむみょう やくむむみょうじん

 (二十三行) 乃至無老死 亦無老死尽  (老と死がなくなるので、老と死が尽きることもなく

       ないしむろうし やくむろうしじん

 (二十四行) 無苦集滅道  (苦しみを集めることも、真理を滅ぼすことも無くなるので、

       むくしゅうめつどう

(二十五行) 無知亦無得 (【真理を】知ることもなければ、得ることもなく

       むちやくむとく

 (二十六行) 以無所得故。 (したがって、【真理を】与えられることもない。

       いむしょとくこ

 (二十七行) 菩提薩垂 依般若波羅蜜多  (悟りを求めている人々は、大いなる教えに依拠し、)(*1) 

       ぼだいさった えはんにゃはらみった

 (二十八行) 故心無圭礙。 (よって、心に疑いと妨げがない。)(*2)

       こしんむけいげ

 (二十九行) 無圭礙故無有恐怖。 (疑いと妨げがなければ、さらに、これにより恐怖が無くなる。)(*2) 

       むけいげこむうくふ

 (三十行)     遠離一切転倒夢想 究境涅槃。 (一切の逆転した夢想()から遠く離れている究極の境地が涅槃である。

       おんりいっさいてんどうむそう くきょうねはん

 (三十一行) 三十世諸仏 依般若波羅蜜多  (過去・現在・未来にわたる仏様たちは、大いなる教えに依拠しているので、

       さんぜしょぶつ えはんにゃはらみつた 

(三十二行) 故得阿耨多羅三十藐三十菩提。(この上なき真実を得たので、悟られているのである。)

       ことくあのくたらさんみゃくさんぼだい 

(三十三行) 故知 (したがって次のように知るがよい。)

       こち

(三十四行) 般若波羅蜜多  (大いなる教えこそが

       はんにゃはらみった

(三十五行) 是大神呪  (偉大な真言であり)

       ぜだいじんしゅ

(三十六行) 是大明呪  (悟りのための真言であり)

       ぜだいみょうしゅ

(三十七行) 是無上呪  (この上なき真言であり)

       ぜむじょうしゅ 

(三十八行) 是無等等呪  (比較するものがない真言なのである。

       ぜむとうどうしゅ

 (三十九行) 能除一切苦  (これこそが、あらゆる苦しみを除き)

        のうじょいっさいく

 (四十行)   真実不虚。 (真実そのものであって虚妄ではないのである、と。

       しんじつふこ

 (四十一行) 故説般若波羅蜜多呪  (そこで最後に、大いなる教えの真言を述べよう。

       こせつはんにゃはらみつたしゅ

 (四十二行) 即説呪曰  (すなわち次のような真言である。

       そくせつしゅわつ

(四十三行) 羯帝羯帝波羅羯帝 波羅僧羯帝 菩提。 (往き往きて、涅槃に到り、さらに涅槃に入りしことが、悟りである。

       ぎゃていぎゃていはらぎゃてい はらそうぎゃてい ぼうじ

 (四十四行) 僧莎訶 般若心経。(めでたし、大いなる教えの般若心経。)

       そわか はんにゃしんぎょう

2021年1月28日木曜日

空相色

再考「真理のことば」 の改訂を進めていますが、この文章は、追加章として執筆中の付録7の原稿の一部です。記事さとりと解脱と涅槃も同様です。今後は、般若心経についての記事を記す予定です。

 「空」という漢字は、穴かんむりと工からなります。工は巧みなものという意味がありますが、上下の横棒(―)は、それぞれ上の世界と下の世界を表し、結ぶ縦棒(|)により連絡されている世界を表していて、これにより巧みな物を表すようになったのでしょう。巧みな物の中で穴のようなものを「空」と呼んだのでしょう。つまり、私たちが上を見上げた時に見える空(そら)は、巧みな物の一部である地球に通っている穴という意味から「そら」に「空」があてられたのだと思います。ちなみに、地上にいる人間にとっては、空は広大で穴なんかじゃないので、創造神様が上から見た状況を表してらっしゃるのでしょう、きっと(汗)。

 議論を戻すと、「本来、空という字の意味は虚しいとか空っぽという意味ではなく、全てを貫く穴という意味なのです。全てを貫く穴とは不変なもの、つまり創造主(神様)がお創りになった真理であると解釈することもできるのです。実は我々が暮らすこの世の物質的な事物ですら、真理で作られていると考えています。科学は限定的ではあり、まだまだ未熟ですが、この世の中の物質的現象を不変的に説明する真理(法または法則)を探究する学問です。つまり、私の捉えた「空」は真理です。

 「空」の対局をなす「色」ですが、これはこの真理(巧みな穴の空)を、覆い隠しているもので、いわゆる気とも表現できる(エーテルでも良いのでしょう。)媒質の流れ(エネルギー流みたいなもの)ではないかと考えています。なお、この「空」は、穴なのでこのような気や気の流れは存在していないようで、次章に載せた般若心経の十七行目でも、「それゆえ、空の中には色がないのである。」と書いてあります。「相」という漢字は、目で見る木(気)と書きます。枝葉が張り巡らされた大きな木とその背景を含めた部分を母相(マトリックス)と見立てた時、このマトリックスは「空」と「色」の部分から成っていると捉えます。そして、それぞれの部分を、空相と色相と表現します。 

 このマトリックスを見て、真理部分の「空相」を認識するのが人間の務めです。しかし、次節に記した般若心経では、十行目の「受想行識」で記されている通り、各個人の想念と行いと知識により、「色」が「空」にもなるし、「空」が「色」にもなると十行目の「亦復如是」で教えてくださっています。この意図を受けている行が、六行~九行の「色不異空空不異色色即是空空即是色」だと思います。

 「色」は、人間の意思で無くすことができない、人間にとっては既存のものと考えて差し支えないと考えています。ただし、「色」は人間の念いによって流れ方が変わり、良い念いは良い流れ(色)を作り、悪い念いは悪い流れ(色)を作ります。しかし、一度形成された色は、善悪の性質を問わず、時間と共に姿を変え、場所により異なってしまいます。一方、空は時間や場所には左右されません。つまり、仏教で言う諸行無常とは、「色」の持つ特性であって、「空」の持つ特性はこの真逆の絶対不変であると考えられます。

 木であれば、木漏れ日をたよりに「空」を見い出すことは可能ですが、この世のマトリックスから空相を見分けるためには、人間は、自分の思い込みや先入観(色眼鏡)を外して、与えられた感覚全てを使い、マトリックスを観測するよう努めなくてはならないでしょう。各個人の想念と行いと知識により、「色」が「空」にもなるし、「空」が「色」にもなるので、心の汚れを取り払ってこの世の中を見なくてはならないのです。このために、お釈迦様は、煩悩や心の汚れがどんなものであるか、事細かに説かれ、その除去方法を説いてくださっているのでしょう。そして、人間には本来、それを正しく理解する力が備わっているのでしょう。どのような心の汚れが自分の中に存在するのか?を常に気にかけ認識し、なくす努力を続けることが大切なのです。

 ちなみに、私の経験では、空を認識した時(空を体現するともいう)は、必死で思考していた時でした。その時認識した空は、「物事も分別」もはっきりした答えが現れたというイメージです。これらが、自分がぼやっと普通にそれまで考えて(見て)いた「物事や答え(分別)」とは、かなり異なったことも事実です。ですから、空を体現することは、色相を取り除いて、実相である空相、すなわち真理を認識する事だと考えています。本来、禅定は真理を探求するために行うものですから、空を体現するために行うものでしょう。「禅定のためには心を空っぽにする」という説明は正しくなく、「心の汚れを取り払って、丹田に集中して、熟考する。」というのが正しいアドバイスだと思います。もちろん、思考などが上手くいかないときに立ち止まって頭や心を休憩することは非常に重要ですが、心をからっぽにするのではなく、邪念を捨てることが必要なのです。また、無相は「相を無くしてください。」となりますので、空相(実相、真理)までなきものにしてしまう呪文になりかねませんので、今後は、「無色相」という言い方などの工夫が必要かもしれないです。


2021年1月25日月曜日

さとりと解脱と涅槃

さとりと解脱と涅槃

「悟り」、「解脱」、「涅槃」について、浄土宗大辞典 Web 版(深謝)から抜粋させていただいたものを次に記します。

**********

  • 悟り (さとり):真理に目覚めること、あるいは(真理に)目覚めることで無明がなくなった状態。
  • 解脱 (げだつ):苦から解き放たれ脱すること、一切の煩悩や束縛から離れて精神的な自由を得ること。
  • 涅槃 (ねはん:苦しみが消滅した状態。仏道修行者の目指すべき到達点である。また涅槃は、煩悩の火が滅した状態、あるいは煩悩という薪たきぎが智慧の火によって焼き尽くされた状態に喩えられる。
**********

 まず、人間についてよく言われている、

「私は人間様だ、すごいだろ!」

「所詮、人間、汝の愚を知れ!」

は、どちらも、私には極論に感じ、好ましいと思いません。

 しかし、「上には上がいる。」という謙虚な自覚があることは、悟りを得るためには強い武器になると 思います。「上には上がいる」という標語的表現は、私も師から教わったのですが、確かに忘れがちなポイントだと強く反省した 覚えがあります。この姿勢を持たなければ、悟りを得る情報が自分に流れ込んでこない、否、流れ込んできても気づかないこと になるでしょう。

  悟りが得られると、執着していた事物から離れる精神力が得られます。それにより、新 しい悪い想念やカルマを獲得せず、既存のそれらの精算だけが進み、最終的にはこれらを一切持たない自分へとなります。人間の分類において、真人は悟りが得られた以上のレベルの人間で、御仏(ブッダ)は悪いカルマを一切持たない存在で、神道的には神人、キリスト教的には無原罪の存在と表現しているようです。

  さらに、神人、御仏との差を取る(よって「さとり」というと、師から伺ったことがあります。)ために人間の行うべき日々の生活における正しい行い(これこそ行) を、お釈迦様は私たちに知らせてくださったと考えています。

 仏道とは、悟りによる解脱で人間が涅槃へと進み真人や神人(仏) へと進化するための教えで、人間に与えられた非常に大切な教えだと考えています。

2021年1月14日木曜日

中学2年生の化学学習について

サブブログ月夜の龍の文章中学2年生の化学学習に…より転載(2021/12/16)

中学2年生の化学学習について

 当方は、高校の時、化学に欺瞞を感じ、それ以降は現在に至るまで極力回避をして過ごしてきました。もちろん、指導教官が好きではなかったと言うわけでなく、授業も真面目に聞いていました。参考書や教科書も読んで、自習も行いましたが、点数が取れても何も根本的にわからないという状態に嫌気がさしたのです。
 まさに今、化学を回避できず、中学の化学から順を追って考えていますが、若かりし時代の自分が化学結合に存する曖昧さで、つまずいたことが判明しました。化学結合の種類は、おおまかには、分子(共有)結合,イオン結合,金属結合,ファンデルワールス結合(中高では必要ない)があります。高校では材料ごとの個別に話を聞いて、その相関関係をまったく論じなかったという感想ですが、いかんせん昔のことで多少の記憶違いはお許しください。関連性の具体例は、共有結合といえば、当方はSiウェハーやダイヤモンド、グラファイトを思い浮かべますが、分子内部の結合もほぼ共有結合という認識を持つことで、化学が1段階も2段回もフレンドリーに感じられるようになるのです。
 次に、化学式ですが、基本的な点では、化学式と化学反応式を勘違いし易いのです。実は、当方も混同して使っていました。また、化学式は物質名の代替えであると理解してもらわないといけません。そして、化学式には何種類かあり、主なものである組成式と分子式を中学では学習することを宣言しないといけません。そして、組成式表示しかできない結合形態と分子式も使える物質の違いを身に付けさせることが大切です。
 また、元素記号と化学式の違いが身に付いておらず、元素記号のNを見て窒素ガス(N2)を想像しだして化学はドロップアウトという悲劇は、頻繁に起こっていると思います。これ、真面目に勉強している人でも、十分に起こりうることで、こう言った事態は極力避けなくてはなりません。 
 と言ったわけで、今回は自称物理屋さんの当方が、自分が化学で落ちこぼれた軌跡を辿る辛〜い辛〜い旅でした。本当に献身的な授業をしてくださる先生も多いのですが、他方では実力不足な教員(理科は分野が広いから致し方ないところもあります。)や悪質な教員による質の低い授業も散見されます。これらを防止するために、指導要領の改良は急務だと思います。なぜ落ちこぼれが出てしまうのか?落ちこぼれた人の意見に耳を傾けていただけたら幸いです。
 まずは、中学理科指導要領の化学分野に目を通した感想を次の1〜9に列挙します。
1年生では、溶解度と再結晶の学習が移行ではなく無くなっていますが、言葉自体も学習しないことになるようで、非常に問題です。これは是非復活させなければなりません。
1年生では、水溶液から発生する気体の収集等の実験を行い、実験器具の使用を習うのですが、これが化学反応であるという認識だけはきちんと持たせるようにすると、2年生での化学の導入が楽になり、中2では原子構造から授業ができるでしょう。ただし、燃焼が酸化の一種であることを身につけるためには、1年で中途半端に燃焼に深入りを避け、2年で酸化還元と一緒に学ぶことは非常に有益だと思います。
中学2年 理科指導要領の化学分野の目標と内容に目を通しましたが、羅列された内容に不足が多少あることはさることながら、順序が入り乱れていて、受講した生徒の頭の中にすんなりと入らないといった印象があります。
原子と元素の違いを中学2年化学に盛り込んでみた方がいいと思われます。
中学2年化学では、分子を導入するので、化学式には分子式と組成式があることも盛り込んだ方がいいと思います。
3年生では、イオンを導入し、酸とアルカリの化学反応と電池の原理を学ぶことになっています。ここは、個別に見ておりません。ただし、中学2年のカリキュラムで原子の構造(原子核(陽子+中性子)+軌道電子)が目標と内容に含まれないのは致命的です。軌道電子が化学的性質を決めること、そして原子の集合の種類;結晶と分子とアモルファスについては、物質の特徴として学習内容に盛り込むべきでしょう。
分子を作る原因は原子の軌道電子が混成して安定状態になるという定性的な説明も盛り込みましょう。
さらに2年性化学の目標と内容は理解しづらい配置なので、教諭がこれに沿って個別の工夫を凝らさず授業を行なった場合、3年生の酸とアルカリの学習はほぼ理解出来ないでしょう。
今回、中学2年化学分野を記述するにあたり、「中学校理科学習指導要領進級対応表」(https://www.shinko-keirin.co.jp/keirinkan/chu/science/point-guidance/pdf/rika.pdfさんより)を参考にして、変更を推奨したい部分を下線で記し 赤字で変更案を記した記述を、下記に載せますので、教育関係者の皆様は ぜひご一読いただければ幸いです。
*****
中2化学分野(第一分野)変更推奨部分 p. 7 (下の方)〜 p. 8 改定後 の引用を含む。
*******
(4) 化学変化と原子・分子 → 「原子・分子から見る化学変化」
大極目標 ア.
化学変化についての観察,実験などを通して,次の事項を身 に付けることができるよう指導する。
化学変化を原子や分子のモデルと関連付けながら,次 のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに 関する技能を身に付けること。 
→ 原子や分子というミクロな立場から化学変化を理解し、原子の構造、原子記号を用いた物質の表記、純物質と混合物と化合物と単体の分類を身につける。さらに化学変化の実験を行い、それらの観察,実験などに 関する技能を身に付ける。
(ア)物質の成り立ち  →このままで良いと思います。
   {ア} 物質の分解→云々  {ア}と{イ}から項目を増やし 下記のように{ア}〜{オ}にします。

  {イ}原子・分子 → 云々
{ア} 混合物と純粋な物質(§A-1)
{イ} 原子(§A-2) 
原子の導入(§A-2-1 原子)
原子構造(§A-2-2 原子構造)
元素記号(§A-2-3 元素記号)
{ウ} 原子の結合(§A-2)
結晶(§A-3-1 固体では)
分子(§A-3-2 分子)
{エ} 単体と化合物(§A-4)
{オ} 化学式と物質名(§A-5)
分子式と組成式
( )内は本書のテキストのセクションを示す。混合物と化合物と単体の分類を身につける。さらに化学変化の実験を行い、それらの観察,実験などに 関する技能を身に付ける。      
(イ)化学変化 (§B-1)
{ア} 化学変化  → 「分解と化合の化学変化」(§B-1-1)
2種類の物質を化合させる実験と、1種類の物質を化学分解する実験を行い,反応前と は異なる物質が生成することを見いだして理解するとともに,化学変化は原子や分子のモデルで説明 できること,化合物の組成は化学式で表されること 及び化学変化は化学反応式で表されることを理解 すること。
{イ} 化学変化における酸化と還元  → 「酸化と還元」(§B-1-2)
金属の燃焼実験を行い,反応前と は異なる物質が生成することを見いだして理解す るとともに,化学変化は原子や分子のモデルで説明 できること,化合物の組成は化学式で表されること 及び化学変化は化学反応式で表されることを理解 すること。
酸化や還元の実験を行い,酸化や還元は酸素が関係する反応であることを見いだして理解すること。また、これまでに取り上げた実験が、化合になるのか分解になるのか理解をすること。
{ウ} 化学変化と熱 → 「化学変化の特徴」(§B-1-3)
今までの実験から化学変化によって熱が発生する事を認識させ、熱を取り出す実験を行い、化学カイロなどの例を挙げ 化学 変化には熱の出入りが伴い、生活にも広く利用されていることを見いだして理解 すること。
(ウ)化学変化と物質の質量 → 「化学変化の特徴」(§B-1-3)
化学変化の前後における物質の質量を測定する実 験を行い,反応物の質量の総和と生成物の質量の総 和が等しい「質量の保存」を見いだして理解すること。
大極目標イ
化学変化に関係する物質の質量を測定する実験を行い,反応する物質の質量の割合は一定の関係があ ることを見いだして理解すること。
→ 化学変化について,見通しをもって解決する方法を立案して観察,実験などを行い,原子や分子と関連付けて、その結果を分析して解釈する力を養う。
→化学変化について,見通しをもって解決する方法を立 案して観察,実験などを行い,原子や分子と関連付けて その結果を分析して解釈し,化学変化における物質の 変化やその量的な関係を見いだして表現すること。
(ア)これまでに挙げた実験以外の実験計画を各グループで調べて、みんなで見通しと結果を立てて発表することができるように、大極目標 ア で立てたカリキュラムで補足を行う。
以上の観点から、以下に参考テキストを記しましょう。
 目次だけ示しますので、全体を閲覧する場合はファイルをダウンロードしてください。1つ目のpagesで作成した生データより、2つ目のpdfファイルのダウンロードがお勧めです。👉ファイルの訂正履歴を最後に記します。
(2021/1/14, 19:30;P8の画像不良改善ファイルに差し替え、陳謝します。)
目次
A. 物質の成り立ち
A-1 混合物と純粋な物質
A-2原子
A-2-1 原子
A-2-2 原子構造
A-2-3 元素記号
A-3原子の結合
A-3-1 固体では
A-3-2 分子
A-4 単体と化合物
A-5 物質の化学式
Coffee Break 1
B. 化学変化
B-1 分解と化合の化学変化
B-1-1 酸化銀の加熱実験
B-1-2 化学反応と化学反応式
B-1-3 過酸化水素水の分解
B-1-4 いろいろな分解
B-1-5 銅の加熱実験
B-1-6 化合
B-1-7 鉄と硫黄の化合実験
B-1-8 酸素と水素の化合実験(水の合成)
B-2  酸化と還元
B-2-1 燃焼
B-2-2 有機物の燃焼
B-2-3 酸化
B-2-4 還元
Coffee Break 2
Coffee Break 3
B-3 化学変化の特徴
B-3-1 発熱反応と吸熱反応
B-3-2 化学変化の質量変化
付録1 覚えておきたい化学反応式
付録2 例題
*****
訂正履歴(公開日 2021-01-14 13:24:51)
*****
2021-01-14 19:30
  •  § A-5と§Coffee Break1 のレイアウト不具合を訂正
2021-01-15 15:40
  • § A-2-3; (注) 「区別が」→「区別を」
  • § A-3-2; (注) 「(*2)」→「(*1)」
  • § A-4;「AL」→「Al」
  • § Coffee Break ;「§ Coffee Break」→「§ Coffee Break 1」
  • § B-1-3 ;「§ B-1-3 過酸化水素の分解」→「§ B-1-3 過酸化水素水の分解」
  • § B-1-2 ;point 部分のレイアウト改正
  • § B-1-8 ;図 B-1-8のレイアウト変更
  • § B-3-2;
「化学変化に置いて、燃焼のように外とはやりとりを行わなければ、初めに示した実験のように化学変化の前後では全体の質量は保たれたままになります。」
   →

「化学変化において、紹介した燃焼のように外の空気と化学変化を行わなければ、化学変化の前後では全体の質量は保たれたままになります。」 

2021年1月7日木曜日

原子量について

 記事「元素(element)と原子(atom)と元素量」において、少し乱暴な議論が多かったため、補足訂正のために記します。本記事だけではなく、必ず元記事を読んでください。


  1.  同じ数の陽子が原子核にある原子を集めたグループが元素です(前提として自然界に存在するものに限定)。
  2.  元素には、陽子数が同じでも中性子数が異なる原子が存在しますので、一つの元素には複数の原子が存在します。👉元素の中には質量が異なる元素が存在する。
  3.  陽子の数が、電気的平衡を保つために軌道電子数を決め、軌道電子の数が原子の化学的特徴を決定する一番大きな要因です。👉同元素なら異なる原子でも化学的性質は同じと言える。
 水素原子の質量:重水素原子の質量=1:2となるように、同元素なら化学的性質は同じでも、原子ごとに質量が異なるため、精度を保つためは元素の質量は構成原子の平均値で考えなくてはなりません。
 原子や元素の量の計量には、質量単位のキログラムは使わず、質量の代わりに原子量を使います。しかも、原子量は質量の場合に使われる単位「Kg」に対応するものがありません。

 (ね、こんがらがるでしょ!)
 つまり、前回の記事で認識したことよりも事態は深刻なのですよ!

人間を計量するには、質量体重)を用いて単位は[Kg]であらわす。
人間を計量するには、長さ身長を用いて単位は[m]であらわす。
固形食品を計量するには、質量を用いて単位は[Kg]であらわす。
液体食品を計量するには、体積を用いて単位は[mL]であらわす。
元素や原子の1つの量を計量するには、原子量を用い単位のない数字であらわす。

 これ、もはや修正のしようがないという気持ちが正直なところですが、原子量を単位にしてしまえばと思います。つまり、原子質量 〇〇[原子量]、元素質量 〇〇[原子量]というように。


前回の結論部分は全面的に変わり、以下のようになります。

************
 結論としては、
 既存の「原子量は、正確さを保つため、元素質量(element mass)原子質量(atomic mass)に変え、その単位として[原子量]([A.A.])とする。原子量」の英訳語は、「atomic amount 」とする。

注)前回は、atomic quantityとしたが、馴染みやすいamountに変えた
************

後記)
 勝手なことを、門外漢がほざいてすみません。門外漢だからこそ言えるという感じです。とにかく、西洋は魔力にやられすぎちゃった感が半端ないけれど、よそ様の事は言えないです。

2021年1月5日火曜日

元素(element)と原子(atom)と元素量

 元素の最小構成要素が原子です。

*******************

 例えば水素元素を考えます。最もたくさん存在する水素は原子核が陽子1つから成る水素原子(質量数1)ですが、1万個の水素原子を集めると原子核が陽子と中性子の各一つからなる水素原子(質量数2)が存在します。後者を重水素と呼び、普通の水素原子と区別します。
 したがって、水素元素は水素原子と重水素原子から構成されます。

*******************

 まず、原子の重さの考え方を初歩的なところから説明しましょう。

 中性子と陽子は同じ質量として良く、電子は約2千分1の質量です。

 中性子も陽子も同じとして、1個の質量を1として考えます。そして、各原子の質量を表したものが質量数(mass number)です。他方、元素は自然界に存在する構成原子の質量の平均を取らなくてはならないのです。また、陽子と中性子の質量等の違いや軌道電子までの重さを加味して、質量数12の炭素原子の質量を12として、各元素の質量(構成原子の平均値)を表す方法が考案されました。これが、原子量(atomic mass, atomic weight)と呼ばれる量でデータ化され広く利用されています。

*******************

 これ、覚えるのとても大変なんですよ。どうしてかというと、言葉の使われ方の曖昧さが小学生並みだからなのです。

  1.  日本語では、原子量を使うと元素と原子の概念がこんがらがるので、実は元素量としなくてはならないのです。
  2.  質量(mass)は重力を表す重量(weight)とは概念が異なりますので、英語のように両者の混在は言語道断です。(実は、日本語の方がまだマシなんですよ。)
  3. 量として使う英語としては、massやweightをあてず、(mass) quantityが一番しっくりくると思います。

*******************

 結論としては、

原子量(atomic mass, atomic weight)

改め、

元素量(element quantity)

にするべきだと思います。

*******************

👉この結論部分を含めて、コメント訂正を引き続きの記事http://longtext.blogspot.com/2021/01/blog-post.htmlに載せます。必ず目を通されてください。